【不動産実務で必須】調整区域で貸家にできるかの確認方法|登記簿を用意して役所へ相談しよう

目次

はじめに

「調整区域にある古家を貸家にしたいけど、そもそも賃貸にできるの?」
「建て替えはできないと聞いたけど、今ある家をそのまま貸しても問題ないの?」

このような相談は、不動産業者や地主の方から頻繁に寄せられます。
実は、調整区域(市街化調整区域)にある建物は用途制限が非常に厳しいため、
「貸家にできるケース」と「できないケース」が明確に分かれています。

この記事では、不動産のプロが実務経験をもとに、

  • 調整区域とは何か
  • 貸家にできるかどうかの判断基準
  • 役所での確認方法
  • 登記簿の準備ポイント
    をわかりやすく解説します。

調整区域とは? まずは仕組みを理解しよう

市街化区域と市街化調整区域の違い

不動産を扱う上で最初に理解すべきなのが「都市計画法による区域区分」です。

区分内容建物の建築可否
市街化区域すでに市街地化されており、住宅・店舗・アパートなどの建築が推進されている区域。原則自由に建築可
市街化調整区域市街地の拡大を抑制するために指定された区域。原則として建築不可(例外あり)

つまり、**調整区域は「家を建てること自体が制限されるエリア」**です。
新たに住宅を建築するのは原則NGですが、「既存建物の賃貸」であれば認められるケースもあります。


調整区域で貸家にできるケースとできないケース

貸家にできるケース(=賃貸可能)

  1. 既存建物が合法的に建てられた住宅である場合
     調整区域にある家でも、「建築当時に合法的に建てられている」場合は賃貸利用可能です。
     → 建築確認済証や登記簿で建築時期を確認しましょう。
  2. 建て替えを伴わない場合
     既存の建物をそのまま使う(リフォーム・修繕のみ)なら、通常は貸家として利用できます。
  3. 特定の許可を得た建物(例:自己居住用許可住宅)
     許可を受けて建てられた建物であっても、**「名義人変更なしで賃貸」**なら認められる場合があります。

貸家にできないケース(=賃貸不可)

  1. 無許可で建てられた建物
     都市計画法第43条の許可を得ずに建てられた建物は、そもそも「違法建築」とみなされるため、賃貸利用は原則不可。
  2. 再建築が認められない建物を解体して再利用しようとする場合
     調整区域では、一度取り壊すと新たに建て直せないことが多く、貸家としての再利用が困難。
  3. 用途変更にあたる場合(住宅→店舗など)
     住宅を賃貸住宅以外(事業用やシェアハウスなど)にする場合は、用途変更許可が必要なことがあります。

確認の第一歩:登記簿を用意しよう

調整区域の建物を貸家にするかどうか判断するには、まず「登記簿謄本(登記事項証明書)」を用意します。

登記簿で確認すべきポイント

確認項目内容目的
所在地番「●市●町●番地」など役所での照会時に必須
建物の構造・用途木造・居宅・アパートなど住宅として建てられたかを確認
新築年月日建築時期建築当時の法令に適合しているか確認
所有者名義人許可住宅の場合、名義変更の可否に関係

登記簿がないと、役所の担当課(都市計画課・建築指導課など)で調べる際に正確な照会ができません。
「建物登記簿」だけでなく「土地登記簿」も一緒に持参するのがポイントです。


役所での相談方法|どこの課に行けばいい?

1. 都市計画課または建築指導課へ

「この建物を賃貸として利用してよいか」「建て替えや用途変更は可能か」を確認する窓口です。

具体的には、次のような質問を伝えるとスムーズです:

「この建物(地番〇〇番)は調整区域内にあります。賃貸住宅として貸し出したいのですが、可能でしょうか?」

担当者は以下の点を確認してくれます:

  • 建物が合法的に建てられているか(建築確認の有無)
  • 再建築の可否
  • 都市計画法43条許可の有無
  • 名義変更や賃貸利用の制限

2. 農業委員会(農地を含む場合)

敷地の一部が「地目:田・畑」となっている場合、農地法の許可も関係します。
登記簿の「地目」が宅地でない場合は、必ず農業委員会で確認しましょう。


3. 建築確認台帳の閲覧(建築当時の資料確認)

市役所で「建築確認台帳」を閲覧できる場合があります。
そこに確認番号や日付が残っていれば、「合法建築」と判断できる根拠になります。


実際の相談時に必要な持ち物

必要書類用途
登記簿謄本(土地・建物)建築位置・地目・所有者の確認
位置図・公図対象地を特定するため
建物の写真現況の把握(担当者が判断しやすい)
身分証明書所有者本人であることを示すため
必要であれば委任状不動産会社が代理で確認する場合

調整区域での貸家活用における注意点

① 建替え・増築は原則NG

「古い家を壊して新しく貸家に建て替えたい」と思っても、調整区域では再建築不可のケースがほとんど。
「現状維持での賃貸利用」に留めるのが安全です。


② 許可住宅の場合は貸し出し条件がある

過去に「自己居住用」や「農家住宅」として許可を受けて建てた場合、
名義変更や賃貸利用には再度許可が必要なケースがあります。
無断で貸すと「許可条件違反」として問題になる可能性も。


③ 過去の登記ミス・未登記建物にも注意

登記簿に建物がない「未登記建物」の場合、
法的には「建築物として存在していない」扱いになるため、貸家利用に支障をきたすことがあります。
この場合は、司法書士・土地家屋調査士に登記依頼をしておくと安心です。


④ 火災保険・ローン・売却時にも影響

調整区域の建物は、建築制限があるため金融機関からの評価が低く、
賃貸経営や売却時に「担保価値が低い」と判断されることがあります。
あらかじめ資産評価を把握しておくことが重要です。


不動産会社の実務的アドバイス

  1. まず登記簿を取得し、合法建築かを確認する
     建築年と用途が「居宅」なら賃貸可能性あり。
  2. 役所での相談記録を残す
     口頭確認だけでなく、担当者名と日付をメモ。将来トラブル防止に役立ちます。
  3. 現況維持での賃貸運用を基本とする
     建替え・用途変更・間取り改造は避ける。
  4. 賃貸募集前に法的確認を終える
     募集開始後に「違法建築」と指摘されると、入居者トラブルにつながります。

まとめ

  • 調整区域では、新たな建築や再建築は原則不可。
  • 既存建物が合法的に建てられていれば「貸家」として利用できる可能性がある。
  • 確認には登記簿(土地・建物)を用意して、都市計画課や建築指導課へ相談するのが最短ルート。
  • 建替えや名義変更を伴う場合は、追加許可が必要になることも。

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ひたちハウス(IIK株式会社)では、
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ご相談・査定は無料です。お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)

ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。

ひたちハスウ代表石川実似顔絵
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