
【不動産屋が本音で解説】未登記建物は登記すべき?しない方がいい?

目次
「登記したほうがいいケース/しないほうがいいケース」を完全整理
不動産の相談現場で、かなりの頻度で出てくるのがこの質問です。
「この家、未登記なんですけど…登記したほうがいいですか?」
結論から言います。
未登記建物は、必ずしも登記したほうがいいとは限りません。
むしろ実務では、
- 登記したほうがいいケース
- 登記しないほうが合理的なケース
がはっきり分かれます。
この記事では、不動産屋の立場から
✔ コスト
✔ 売却のしやすさ
✔ トラブル回避
✔ 将来リスク
を基準に、判断の軸を完全整理します。
「とりあえず登記した方がいいですよ」という
無責任なアドバイスはしません。
そもそも未登記建物とは?
未登記建物とは、
- 現実には建物が存在する
- 固定資産税も課税されている
- しかし法務局の登記簿に建物が存在しない
こうした状態の建物です。
地方では特に多く、
- 昭和の古い住宅
- 農家住宅
- 相続した空き家
- 増築部分だけ未登記
など、珍しくも何ともありません。
判断基準は「法律」ではなく「実務とお金」
未登記建物の登記を考える際、
見るべきポイントはこの4つです。
- 売るのか?使うのか?
- 金額はいくらか?
- 誰が買う(使う)のか?
- いつまでに動かしたいか?
これを踏まえて、
「登記したほうがいいケース」から解説します。
登記したほうがいいケース
① 住宅ローンを使って売りたい場合
これは絶対条件です。
- 一般の個人
- マイホーム購入
- 住宅ローン利用
この場合、
未登記建物はほぼ確実にNGです。
理由は単純で、
- 銀行は「登記」でしか権利を判断しない
- 抵当権設定ができない
- 評価ができない
つまり、
登記しないと土俵にすら上がれません。
② 売却価格が高い(数百万円以上)
不動産屋の実感として、
- 建物付きで300万以下
→ 登記しない選択もアリ - 建物付きで500万〜
→ 登記したほうがいい
このあたりが一つの目安です。
理由は、
- 登記費用10〜30万円が相対的に安い
- 登記することで買主の幅が広がる
- 結果的に高く売れる
登記=コストではなく投資になるケースです。
③ 将来も長く使う予定がある
- 自分が住む
- 子どもに相続させる
- 賃貸として貸す
こうした場合は、
登記しておいたほうが後が楽です。
特に相続では、
- 未登記建物がある
- 相続人が複数いる
- 年数が経つ
この組み合わせで
一気に面倒になります。
④ 増築・改修・用途変更を考えている
- 大規模リフォーム
- 用途変更
- 賃貸化
- 民泊
こうした場合、
未登記のまま進めると詰みます。
建築・融資・許可関係で
「登記簿を出してください」
と言われて終わりです。
登記しないほうがいいケース
ここからが本音ゾーンです。
① 古家・ボロ家・空き家を早く処分したい
- 築40年超
- 雨漏りあり
- 傾きあり
- 修繕前提
このタイプの物件、
登記費用をかけても回収できません。
登記しても、
- 値段はほぼ変わらない
- 買主は投資家・業者
- ローンも使わない
なら、
👉 未登記のまま売る
👉 市役所で所有者変更
これが一番合理的です。
② 売却価格が極端に安い(0〜200万)
例えば、
- 建物付き100万円
- 買取価格50万円
- 土地値ほぼゼロ
この状態で、
- 登記費用20万円
正直、意味がありません。
不動産屋として断言します。
👉 登記しないほうがいいです。
③ 不動産会社・投資家への買取
- 不動産会社
- 投資家
- 現金決済
この層は、
- 未登記に慣れている
- 市役所手続きで問題なし
- 後で自分で登記する
つまり、
売主が登記する必要がないのです。
④ 相続人が多く、登記が面倒な場合
相続案件でよくあるのが、
- 相続人5人以上
- 連絡が取れない人がいる
- 話し合いが進まない
この状態で登記を進めると、
一生終わらないことがあります。
こういう場合は、
- 未登記のまま整理
- 買取や処分を優先
これも立派な判断です。
登記費用のリアルな相場感
参考までに、
建物表題登記の目安です。
- 小さな建物:10万〜15万
- 一般住宅:15万〜25万
- 複雑・古家:30万前後
ここに、
- 現地調査
- 書類集め
- 打ち合わせ
が加わります。
「無料で登記できます」は
ほぼありません。
よくある勘違い
❌ 未登記=違法で危険
⭕ 未登記=地方では普通
❌ 登記しないと売れない
⭕ 売り方が違うだけ
❌ 登記しないと価値がない
⭕ 価値は立地と需要で決まる
不動産屋としての結論
オブラートに包まず言います。
- 登記すべきかどうかは
「正義」ではなく「損得」 - 登記は目的ではなく手段
- 迷ったら「誰に売るか」で決める
特に空き家は、
持ち続けること自体が最大のリスクです。
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まとめ|未登記建物はケースで判断する
最後に整理します。
登記したほうがいいケース
- 住宅ローンを使う
- 高値売却を狙う
- 長期保有・相続予定
- 改修・用途変更予定
登記しないほうがいいケース
- 古家・空き家
- 低価格物件
- 業者・投資家売却
- 早期処分優先
未登記建物は、
扱い方を知っているかどうか
それだけで結果が大きく変わります。
「登記すべきか迷っている」
その時点で、
一度、実務を知っている不動産屋に相談する
これが一番の近道です。
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この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。







