
【不動産屋が解説】古家付き土地の売却戦略|高く・早く売るためのポイント

目次
はじめに
土地を売却する際、「古家付き土地」という形で売るべきか、更地にして売るべきかで悩む方は多いです。
古家付き土地とは、築年数が経過し、建物の価値がほとんどゼロ、または解体が前提とされる家が建っている土地のことを指します。
不動産取引の現場では、この古家付き土地は売り方を間違えると長期化しやすく、価格も下がりやすい特徴があります。
しかし、戦略的に売り出せば、買い手のニーズに合致し、スムーズな成約も十分可能です。
この記事では、古家付き土地を売却する際のメリット・デメリット、価格設定のポイント、売却パターン、注意点を詳しく解説します。
1. 古家付き土地とは?
「古家付き土地」とは、不動産広告などでよく見かける表現ですが、明確な法的定義はありません。
一般的には以下のような条件に当てはまる建物付き土地を指します。
- 築年数が経過し、老朽化が進んでいる
- 現状のままでは住めない、または大規模修繕が必要
- 建物としての価値よりも土地としての価値が大きい
- 取引時に「現況渡し(解体せずそのまま売却)」とすることが多い
2. 古家付き土地の売却メリット
2-1 解体費用を売主が負担しなくて済む
更地にして売る場合、建物の解体費用がかかります。木造住宅でも100万円〜200万円、鉄骨造やRC造だとさらに高額になります。
古家付きで売れば、この費用を負担せずに済みます。
2-2 固定資産税が安くなる(売れるまで)
建物があることで「住宅用地特例」が適用され、固定資産税が更地よりも安くなる場合があります。
売れるまでの期間、税負担を抑えられる点はメリットです。
2-3 購入者が自由に判断できる
買主が「リノベーションして使う」か「解体して新築する」かを自由に選べます。
古民家再生やDIYを希望する層にもアピールできます。
3. 古家付き土地のデメリット
3-1 買い手が限定される
老朽化している建物はそのまま使えないことが多く、買い手は「解体費用」や「再建築条件」を考慮しなければなりません。
結果、購入をためらう人が増えます。
3-2 現地の印象が悪くなる
外観や庭が荒れていると、第一印象が悪くなります。特に空き家期間が長いと草木が伸び放題になり、買い手が見学すらしないケースもあります。
3-3 契約不適合責任のリスク
シロアリ被害や雨漏り、地中埋設物など、売却後にトラブルとなる可能性があります。
4. 古家付き土地の売却戦略
4-1 価格設定は「土地値」ベースで
古家付き土地は、建物の評価をゼロとして、土地の路線価や取引事例から価格を決定するのが基本です。
解体が前提の場合、買い手は解体費を差し引いて予算を組むため、その分を加味した価格設定が必要です。
4-2 現況渡しか、更地渡しかを明確にする
- 現況渡し:売主負担が少なく、すぐに売り出せる
- 更地渡し:買い手がすぐに建築できるため、成約スピードが早まる可能性あり
どちらが有利かは、立地やターゲットによります。
4-3 草刈り・清掃で印象アップ
解体しなくても、庭や外周を整えるだけで見学者の印象は大きく変わります。
放置感をなくし、「管理されている物件」という印象を与えることが重要です。
4-4 用途の幅を広げて売り出す
- 住宅用地
- 駐車場
- 資材置き場
- 太陽光発電用地
買い手層を広げることで成約チャンスも増えます。
4-5 再建築不可の場合は特に工夫が必要
接道義務を満たさず建物が建てられない場合、価格を大幅に下げるか、隣地所有者への売却を検討します。
5. 売却時の注意点
5-1 契約不適合責任の免除条項
古家付き土地はトラブルを避けるため、契約書に「現況有姿・契約不適合責任免除」と明記するのが一般的です。
5-2 インフラ状況の確認
上下水道・ガス・電気の引き込み有無を事前に確認し、買い手に説明できるようにします。
5-3 農地や調整区域の場合の許可
調整区域や農地の場合、建築や転用に行政の許可が必要になるため、事前に確認しておきます。
6. 実際の事例
事例1:草刈りと片付けで即売
常陸大宮市の古家付き土地は、雑草が胸の高さまで伸びて見学が困難な状態でした。
売主負担で草刈りと簡易清掃を行い、写真映えを改善した結果、2週間で成約。
事例2:古民家好きに直接アプローチ
築80年の古家付き土地を、更地にせず古民家として販売。SNSや古民家再生コミュニティで拡散し、一般相場より高く売却。
7. 高く・早く売るためのまとめ
- 価格設定は土地値基準で、解体費用も考慮
- 現況渡しか更地渡しかを早期に決める
- 第一印象を良くするために最低限の整備
- 買い手の用途を広げる戦略
- 契約不適合責任免除でトラブル回避
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まとめ
古家付き土地は、更地より売れにくい面もありますが、戦略次第で早期売却や高値売却も十分可能です。
無理に解体する前に、現況でのニーズを探り、的確なターゲットにアプローチすることが成功のカギとなります。
もし「古家付き土地をどう売ればいいかわからない」という方は、不動産会社に査定依頼し、現況・更地の両方の売却価格を比較してから判断すると良いでしょう。
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。
