
【不動産購入の落とし穴】井戸・山水・市水の違いを徹底解説|知らずに買うと後悔するかも?
目次
はじめに
不動産の購入を検討する際、多くの方が「建物の状態」や「立地条件」「価格」に目を向けます。
しかし、意外と見落とされがちなのが 「水の種類」 です。
生活に欠かせない水は、地域や土地の条件によって
- 井戸水(いどみず)
- 山水(さんすい)
- 市水(上水道)
のいずれか、または複数の併用になっています。
「どれでも水が出るなら同じでしょ?」と思うかもしれませんが、
実際には 生活コスト・衛生面・メンテナンス・再建築時の制限 など、
大きな違いがあるのです。
この記事では、不動産屋の実務経験をもとに、
それぞれの特徴・メリット・デメリット・購入時の注意点を詳しく解説します。
井戸水とは|地下水をくみ上げて使う「自前の水道」
井戸水の仕組み
「井戸水」は、地下にある地下水をポンプでくみ上げて使用する水です。
古くから使われており、上水道が整備されていない地域では今でも一般的です。
最近では、電動ポンプを使った「浅井戸」や「深井戸」、
災害対策のための井戸併設住宅なども増えています。
メリット
- 水道料金がほぼ無料(電気代とメンテ費のみ)
- 断水時でも使用可能(停電時は注意)
- 地下水特有のミネラル成分が豊富
デメリット
- 水質検査が必要(細菌・硝酸性窒素・鉄分・マンガンなど)
- 鉄やカルシウムによる配管・家電の汚れ
- ポンプ故障時の修理費が高い(10万〜30万円)
- 飲用に不適な場合もある(井戸水は水道法の基準外)
不動産購入時の注意点
井戸水の家を購入する際は、水質検査書の有無を確認しましょう。
特に「飲料水として使えるか」「トイレ・風呂のみか」を区別しておくことが重要です。
また、ポンプが故障すると全ての水が止まるため、メンテナンス契約があると安心です。
山水とは|山から湧き出た自然水を引き込む方式
山水の仕組み
「山水」とは、山の湧水や沢水をパイプで引き込み、
そのまままたはタンクを通して使用する方式です。
主に山間部・集落・別荘地などで見られ、地域住民や地権者で共同管理している場合が多いです。
メリット
- 水道料金が不要
- 自然水で味が良く、冷たくて美味しい
- 山の暮らし・田舎暮らしの魅力の一つ
デメリット
- 水量が季節によって変化(夏は少なく、冬は凍結も)
- 水質が不安定(動物の死骸や土砂混入リスク)
- 水が止まったときの責任所在が曖昧(共同管理)
- 法的な水利権の問題が発生することも
不動産購入時の注意点
山水を利用している家は、公的な水道インフラが未整備の可能性が高く、
購入後に「市水に切り替えたい」と思っても、**多額の引き込み費用(数十万円〜数百万円)**がかかる場合があります。
また、山水は「誰の土地から引いているか」が非常に重要です。
地主の承諾なく使用していると、将来的に水の供給を止められるリスクもあります。
契約前に、水源の所有者・配管ルート・維持管理者を必ず確認しましょう。
市水(上水道)とは|自治体が管理する安心・安定の水
市水の仕組み
市水(上水道)は、地方自治体(市町村)が管理・供給している水道水です。
浄水場でろ過・殺菌された水が、配管を通じて各家庭に送られます。
現在の住宅地のほとんどがこの「市水」を利用しています。
メリット
- 安全性が高い(水道法の基準で管理)
- 水圧が安定している
- 修理やメンテナンスは自治体対応
- 住宅ローンや保険でも安心評価
デメリット
- 水道料金が発生する
- 断水時に使えない(災害・地震時)
- 古い管路では赤水が出ることも
不動産購入時の注意点
都市部では当たり前の市水ですが、地方の一部ではまだ整備されていない地域もあります。
購入予定の土地・建物が**「公営水道区域外」かどうかを、必ず役所の上下水道課**で確認してください。
また、市水でも「私設管(個人が敷設した水道管)」を経由している場合は、
修理費や接続負担金が自己負担になることがあります。
井戸・山水・市水の比較表
| 項目 | 井戸水 | 山水 | 市水(上水道) |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料(電気代・保守費あり) | 無料 | 有料(月2,000〜4,000円) |
| 安全性 | 定期検査が必要 | 不安定 | 高い(法基準あり) |
| 水圧 | 弱い場合あり | 不安定 | 安定 |
| トラブル時 | ポンプ修理・自己対応 | 水源トラブル・管理者不明 | 役所が対応 |
| 飲用可否 | 条件による | 条件による | 可 |
| メリット | コスト安・災害時強い | 味が良い・自然水 | 安全・安定 |
| デメリット | 水質リスク・維持費 | 水量変動・水利権問題 | 維持費(料金) |
不動産購入時にチェックすべき3つのポイント
① 水道種別を契約前に確認する
重要事項説明書に「上水道」「井戸」「その他」と記載されている項目があります。
ここを必ずチェック。
「その他」と書かれている場合は、井戸または山水の可能性大です。
② 水質・水量の確認
井戸・山水の場合は、実際に水を出して確認するのがベスト。
色・匂い・濁り・水圧などを現地でチェックし、
可能であれば水質検査を依頼しておきましょう。
③ 切り替え可能かを役所に確認
将来的に「市水に変えたい」と思ったときに、
道路に水道本管が通っていないと、引き込み工事に100万円以上かかる場合もあります。
購入前に市役所の水道課で「前面道路の配管有無」を確認しておくと安心です。
実際にあったトラブル事例
事例①:井戸ポンプが壊れて全く水が出なくなった
中古住宅を購入後、数か月でポンプが故障。
修理費が20万円かかり、しかも電源を落とすと水が出ない構造だった。
事例②:山水を使っていたが、水源の地主が代替わりし「使うな」と言われた
口約束で使用していたため、法的に対抗できず、結果的に市水引き込み工事(約180万円)を負担。
事例③:井戸水に鉄分が多く、洗濯物が黄色に
鉄やマンガンの濃度が高く、フィルター設置や給湯器交換が必要になった。
こうしたトラブルは、購入前に水の種類を確認していれば防げるケースがほとんどです。
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まとめ
- 不動産の「水」は 井戸・山水・市水 の3種類がある
- それぞれにメリット・デメリットがあり、生活コスト・安全性が大きく異なる
- 特に地方や古い住宅地では、井戸・山水の割合が多い
- 購入前に必ず「水道種別」「水質」「引き込み状況」を確認すること
水は生活の基盤であり、快適な暮らしのカギです。
安易に「水が出ればOK」と考えると、後から思わぬ出費やトラブルにつながることもあります。
当社へのご相談
IIK株式会社(ひたちハウス)では、茨城県内の中古住宅・土地・空き家などの購入・売却を多数手がけています。
現地調査時には、井戸・山水・市水の確認や役所調査も行い、安心して取引できるようサポートしています。
📍 ひたちハウス公式サイトはこちら
💬 「井戸のある家を買いたい」「山水物件を売りたい」などのご相談もお気軽にどうぞ。
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。







