
【休眠抵当とは?】大正時代の抵当が残っていた物件の売買と抹消方法

目次
はじめに
不動産の売買を進めているときに、思わぬ“壁”に直面することがあります。
その代表的なもののひとつが 「休眠抵当(きゅうみんていとう)」 です。
つい先日、弊社で扱った物件に、なんと大正時代に設定された抵当権が残っていました。
すでに100年近く前のもので、債権者も存在せず、実質的には意味をなさない権利です。
しかし登記簿に記載されている以上、売買や融資を進める上で大きな障害となります。
本記事では、
- 休眠抵当とは何か
- 売買にどのような影響があるか
- 抹消する方法
- 実際の対応事例
について、不動産実務の視点から詳しく解説します。
休眠抵当とは?
1. 抵当権の基本
抵当権とは、金融機関や個人からお金を借りる際に、不動産を担保に設定する権利のことです。
返済が滞った場合、債権者はその不動産を競売にかけて貸したお金を回収できます。
2. 休眠抵当の定義
「休眠抵当」とは、実際には効力を失っているのに、登記簿上に残っている抵当権のことを指します。
多くは以下のようなケースで発生します。
- 大正・昭和初期に設定された古い抵当権
- 債権者(銀行・個人・組合など)がすでに存在しない
- 相続人や承継先が不明で処理できない
大正時代の抵当が残っていた事例
実際に、弊社が取り扱った土地の登記簿には、大正時代に設定された抵当権が残っていました。
もちろん、当時の債権者はすでに存在せず、借金自体も消滅しています。
しかし、買主側の金融機関は
👉「抵当権が残っている状態では融資できない」
と回答。
売買契約を成立させるには、抵当権抹消の手続きが不可欠となりました。
休眠抵当が残っているとどうなる?
1. 売買契約が進められない
買主や銀行は、抵当権が残っている不動産を嫌います。
抹消登記をしない限り、決済はできません。
2. 融資の担保に使えない
ローンを利用して購入する場合、担保に入れられず審査が通りません。
3. 資産価値が下がる
不明な権利が登記に残っていることで、物件の資産価値自体も下がってしまいます。
👉 休眠抵当は「早めに対処しなければならない問題」なのです。
休眠抵当の抹消方法
1. 債権者が現存する場合
- 債権者に解除証書を作成してもらい、抹消登記を行う
- 司法書士に依頼すればスムーズに進められる
2. 債権者が消滅している場合
このケースがもっとも多く、**除権決定(民事執行法86条)**を利用します。
裁判所に申立てを行い、「権利はすでに消滅している」と認めてもらうことで、抵当権を抹消できます。
3. 相続人が不明な場合
相続調査をしても相続人が見つからない場合も、最終的には裁判所の除権決定を利用します。
除権決定の流れ
- 裁判所に申立書を提出
- 登記事項証明書や調査資料を提出
- 裁判所が調査し、消滅が認められれば「除権決定」
- その決定書を法務局に提出し、抵当権を抹消
期間は2〜3か月程度、司法書士に依頼すると20〜30万円前後が目安です。
休眠抵当のある物件を売るときの注意点
- 登記簿を必ず確認する
取引前に登記事項証明書を取得して確認しましょう。 - 専門家に早めに相談する
抹消には専門知識が必要。司法書士や不動産会社へ早めに依頼することが大切です。 - 買主に正直に説明する
「古い抵当がありますが、抹消を進めています」と伝えることで信頼を得られます。
弊社での対応事例
弊社「ひたちハウス(IIK株式会社)」では、大正時代の抵当が残る物件を実際に取り扱いました。
- 司法書士に依頼して除権決定を申立て
- 数か月後に抹消が完了
- 無事に売買契約を成立
売主様も「こんな古い抵当が残っているなんて想像もしなかった」と驚いていましたが、適切な対応により円満に解決できました。
休眠抵当を放置するリスク
- 将来、売却や相続がスムーズに進まない
- 固定資産の評価に影響し、価値が下がる
- 子や孫に負担を残すことになる
👉 今すぐ売る予定がなくても、抹消しておくことが安心につながります。
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まとめ
- 休眠抵当とは:効力を失っているのに登記簿に残っている抵当権
- 大正時代の抵当も残っているケースがある
- 影響:売買や融資ができない、資産価値が下がる
- 解決方法:債権者がいれば解除証書、いなければ裁判所の除権決定
- 実例:司法書士のサポートで抹消し、売買を無事成立
古い抵当権が残っている不動産は珍しくありません。
もし「休眠抵当がある」とわかったら、早めに専門家へ相談し、安心して売却・相続できる状態に整えましょう。
お問い合わせ
ひたちハウス(IIK株式会社)
〒319-2143 茨城県常陸大宮市根本297-1
TEL:0295-58-6268
公式サイト:ひたちハウス公式HP
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。







