【実体験】入居者が逮捕された!? 自社管理のデメリットと対応方法|家賃滞納・荷物放置の現実

目次

はじめに

賃貸経営をしていると、まさかのトラブルに直面することがあります。
その中でも、**「入居者が逮捕された」**というのは、想定外の事態のひとつです。

「家賃は滞納している」
「部屋の中に荷物がそのまま残っている」
「警察から連絡がきた」

今回は、実際に私(不動産業者)が入居者が逮捕されたケースで留置場に面談に行ったときの話をもとに、
自社管理ならではの対応の大変さ、そしてトラブルを最小限に抑える方法を詳しく解説します。


入居者が逮捕された…まず何が起こるのか?

入居者が逮捕されると、通常、警察や家族、もしくは近隣住民から連絡が入ります。
事件・事故の内容によっては、家主や管理会社にも警察が現場確認のために立ち入る場合があります。

私のケースでは、ある日突然、警察署から電話がありました。

「○○アパートの入居者が逮捕されました。荷物や家財はそのままになっています」

この瞬間、頭に浮かんだのは次の3つ。

  1. 家賃はどうなる?
  2. 荷物の扱いは?
  3. 契約はどうすればいい?

ここからが、自社管理の本当の大変さです。


逮捕=すぐ退去ではない

まず理解しておきたいのは、逮捕されたからといって自動的に契約終了にはならないということ。
入居者本人が刑務所に行こうが、留置場にいようが、契約上はまだ「居住者」扱いです。

このため、

  • 家賃は発生し続ける
  • 荷物の処分は勝手にできない
  • 鍵を変えるのもNG
    という、非常に厄介な状態になります。

実際の対応:留置場での面談

家賃滞納が続いていたため、私は留置場に面談申請をしました。
面会には身分証明書と、入居者との関係性を説明する資料(賃貸契約書のコピーなど)が必要です。

ガラス越しに本人と対面。
本人は意外にも落ち着いており、

「すみません。しばらく出られないですが、荷物はそのままにしておいてください」
と言われました。

つまり、家賃は払えないが、荷物は残したままにしてほしいという要求。

この瞬間、管理する側としては板挟みです。


自社管理のデメリットが露呈する瞬間

このようなケースになると、「自社管理」だからこその苦労が一気に表面化します。

① 決断も手続きもすべて自分で

通常、管理委託をしていれば、こうした案件は管理会社が代行してくれます。
しかし自社管理の場合、すべて自分で判断・対応しなければなりません。

・警察とのやり取り
・家族との連絡調整
・荷物の扱い相談
・退去立ち合いの段取り

一つひとつが神経を使う作業です。


② 荷物を勝手に処分できない

「もう家賃も払ってないし、片付けてしまおう」
……と思っても、それは法的にアウトです。

借地借家法では、入居者の権利が非常に強く保護されています。
たとえ逮捕・拘留中でも、契約解除・荷物処分には正式な手順が必要です。

勝手に荷物を処分すれば、「不法行為(損害賠償)」に発展するリスクもあります。


③ 滞納家賃が膨らむ

留置場にいる間は、当然家賃を支払えません。
保証会社に加入していない場合、滞納がどんどん積み上がることになります。

また、保釈後に支払いができるかどうかも不明。
最悪、退去時に原状回復費用すら回収できないケースもあります。


④ 家族や保証人が機能しないことも

家族に連絡しても、「関わりたくない」と言われることがあります。
保証人が音信不通になれば、回収も交渉もストップ。

結果として、部屋も荷物も放置状態に陥るわけです。


荷物を処分するための正しい手順

勝手に処分することはできませんが、放置もできません。
そこで重要なのが、「法的手続きを踏んで処理する」ことです。

ステップ1:内容証明で契約解除通知

入居者本人や保証人宛に、内容証明郵便で契約解除通知を送ります。
文面には、

  • 滞納金額
  • 契約解除日
  • 荷物引取期限
    などを明記します。

ステップ2:連絡がなければ法的手続きへ

期限までに連絡がなければ、「賃貸借契約解除」として処理し、残置物の処理手続きに進みます。

実務上は、

  • 弁護士に依頼して残置物放棄確認書を作成
  • 家裁に申し立てて「明渡訴訟」を行う
    といった流れになります。

時間も費用もかかりますが、正規の手続きを踏むことでトラブルを防げるのです。


逮捕入居者の部屋で気をつけるべきこと

① 立ち入りは警察の許可が必要

事件性がある場合、部屋が「証拠保全」の対象になっている可能性があります。
この場合、警察の許可が出るまで立ち入ってはいけません。

② 部屋の清掃・消臭も想定

逮捕前にゴミや生活臭が残っていることが多く、再賃貸までには清掃・消毒・消臭作業が必要になります。

③ SNS・近隣への配慮

「○○の部屋の人、逮捕されたんだって」と噂が立つと、他の入居者が退去するケースも。
個人情報とプライバシー配慮は必須です。


自社管理のリスクと向き合う

自社管理は「コスト削減」や「入居者との距離の近さ」がメリットですが、
トラブル時にはすべて自分で処理しなければならないという大きなデメリットがあります。

メリットデメリット
管理委託費がかからないトラブル時の全対応が自分
入居者と直接やり取りできる精神的負担が大きい
自分の裁量で動ける法的知識が必要
現場判断が早い逮捕・孤独死など想定外事態に弱い

トラブル対応を学ぶには貴重な経験ですが、
精神的にも時間的にもかなりの負担です。


再発防止のための対策

① 保証会社を必ず利用する

保証会社を通すことで、滞納家賃の回収リスクを減らせます。
また、トラブル時の法的対応サポートを行ってくれる会社もあります。

② 入居審査を慎重に

入居時の人物確認・勤務先・連帯保証人の実在確認など、審査精度を上げることでトラブルを減らせます。

③ 定期借家契約の導入

トラブル発生時でも契約期間満了で退去が確定できるため、処理がスムーズです。

④ 管理委託の一部外注

「滞納管理」「法的対応」だけを専門業者に委託する方法もおすすめです。


まとめ

  • 入居者が逮捕されても、契約はすぐに終了しない。
  • 荷物を勝手に処分するのはNG。
  • 登記簿や契約書を持参して、警察・役所・弁護士に相談を。
  • 自社管理はコスト面で有利だが、トラブル対応はすべて自分。
  • 保証会社利用・定期借家化・法的知識の習得でリスクを軽減できる。

当社からのご案内

私たち ひたちハウス(IIK株式会社) は、茨城県内で賃貸管理・買取・再生事業を行っています。
空き家やトラブル物件、訳あり賃貸の相談も多く、実務経験に基づく対応ノウハウがあります。

「入居者が逮捕されて困っている」
「荷物を残したまま退去された」
「管理を任せたい」

そんな場合は、ぜひご相談ください。

📍 ひたちハウス公式HPはこちら

法的なリスクを踏まえた上で、最適な処理方法をご提案いたします。

この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)

ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。

ひたちハスウ代表石川実似顔絵
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