
【賃貸経営の基礎知識】大家さんは火災保険・入居者は家財保険|役割と必要性を徹底解説

目次
はじめに
賃貸住宅の契約時、ほぼ必ず話題になるのが「火災保険」と「家財保険」です。
しかし、**「火災保険に入っているから安心」**と思っていたら、いざ災害や事故が起きたときに補償を受けられないケースがあることをご存じでしょうか?
実は、賃貸物件においては大家さんが加入すべき保険と、入居者が加入すべき保険は別物です。
この違いを理解せずに契約してしまうと、万が一の際に数十万円〜数百万円の自己負担が発生することもあります。
本記事では、不動産会社の立場から大家さんが加入すべき火災保険、入居者が加入すべき家財保険の役割と必要性をわかりやすく解説します。
賃貸経営をしている大家さんや、これから賃貸物件に入居する方にとって必読の内容です。
1. 大家さんと入居者で必要な保険が異なる理由
賃貸契約では、建物の所有権は大家さんにあり、部屋の使用権を持つのが入居者です。
そのため、守るべき対象が異なります。
- 大家さん → 建物本体や共有部分を守る保険(火災保険)
- 入居者 → 自分の所有物や生活用品を守る保険(家財保険)
この役割分担が明確でないと、事故や災害時に「どちらが補償するのか」でトラブルになる可能性があります。
2. 大家さんが加入するべき火災保険とは?
2-1 火災保険の補償対象
大家さんが加入する火災保険は、建物そのものを守るための保険です。
対象は壁・屋根・床・柱・配管・付帯設備(給湯器、エアコンなど)など、構造や設備部分が中心です。
2-2 主な補償内容
- 火災による焼失・損傷
- 台風・暴風雨・豪雪による損害
- 水漏れ(上階からの漏水や給排水設備の事故)
- 落雷による損害
- 爆発・破裂などの事故
2-3 補償されないもの
火災保険はあくまで建物本体を守るためのものです。
入居者の持ち物(家具・家電・衣類など)は補償対象外です。
3. 入居者が加入するべき家財保険とは?
3-1 家財保険の補償対象
家財保険は、入居者が所有する家具・家電・衣類・貴重品などの生活用品を守る保険です。
3-2 主な補償内容
- 火災や爆発で家財が損傷
- 台風や水害で家電や家具が破損
- 水漏れ事故でカーペットやパソコンが水浸し
- 盗難による損害
3-3 借家人賠償責任特約
賃貸契約では、入居者が過失で部屋を損傷させた場合、修繕費を大家さんに支払う必要があります。
この費用を補償するのが借家人賠償責任特約です。
多くの家財保険には標準でセットされています。
4. もし片方だけが保険に入っていたら?
4-1 大家さんだけが火災保険に加入
火事で建物は修復できても、入居者の家具や家電は補償されません。
入居者は全て自己負担で買い直しになります。
4-2 入居者だけが家財保険に加入
災害で建物自体が損傷しても、修理費は大家さんが負担する必要があります。
火災保険に未加入だと、数百万円単位の修繕費を自己負担するリスクがあります。
5. 実際にあったトラブル事例
事例1:上階からの漏水事故
- 原因:上階入居者の洗濯機ホース外れ
- 損害:下階天井の修理費50万円+入居者の家財損害20万円
- 結果:建物修理は大家さんの火災保険で対応、家財損害は下階入居者の家財保険で補償
事例2:落雷による設備破損
- 原因:夏の雷で給湯器とエアコンが故障
- 結果:火災保険で設備交換費用を補償、入居者の家電は家財保険で対応
6. 大家さんが火災保険に入るメリット
- 修繕費の負担軽減
数十万〜数百万円の突発的な出費を保険でカバーできる。 - 入居者への信頼感向上
保険加入は安全管理の証拠となり、募集時のアピールにもなる。 - 賃貸経営の安定化
災害後も早期復旧が可能になり、空室リスクを減らせる。
7. 入居者が家財保険に入るメリット
- 生活再建の迅速化
家具・家電の買い替え費用を補償してもらえる。 - 借家人賠償で安心
過失で部屋を損傷しても、高額な修繕費の自己負担を回避できる。 - 盗難や日常事故にも対応
外出先での盗難なども補償対象になる場合がある。
8. 契約時のチェックポイント
- 保険期間(長期契約は割引あり)
- 水害や地震保険の有無
- 借家人賠償の補償額
- 保険金額と家財評価額のバランス
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。

まとめ
- 賃貸物件では、大家さんは火災保険、入居者は家財保険が基本
- 火災保険=建物を守る、家財保険=生活用品を守る
- 双方が加入していることで、災害時の損害を最小限にできる
- 借家人賠償責任特約は入居者に必須
不動産の現場では、「どちらか一方だけ保険に入っている」ことでトラブルが拡大するケースを何度も見てきました。
賃貸経営も入居生活も、備えあれば憂いなしです。
契約前に保険内容を確認し、安心できる住まい環境を整えておきましょう。
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。
