
公図と現状が違う?どういうこと?不動産売買でよくあるトラブルと対処法

不動産売買において、「公図と現状が違いますね」と言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。この言葉を聞くと「え?それって問題じゃないの?」「売買に影響があるのでは?」と不安になるのも当然です。
この記事では、不動産売買や土地活用の現場で頻出する「公図と現況の相違」について、原因やリスク、具体的な対処方法をわかりやすく解説します。不動産を売却・購入する予定のある方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
公図とは何か?現況との違いを理解しよう
まずは「公図」と「現況(げんきょう)」の意味を明確にしておきましょう。
公図とは?
公図(こうず)は、法務局が保管する「土地の位置や形状、隣接関係」を示した図面のことです。本来は登記簿の付属資料としての位置づけで、土地の所有者や地番がどこにあるのかを視覚的に確認できるように作られたものです。
公図は誰でも取得することができ、不動産調査や相続手続き、不動産売買の際によく用いられます。
しかし、公図は「土地の正確な境界線」を保証するものではないという点に注意が必要です。あくまで「参考図」としての扱いであり、測量図のような精度はありません。
現況(現地の実態)とは?
「現況」とは、現地の実際の状態を指します。境界標が打ってあったり、ブロック塀があったり、フェンスで仕切られていたりしますが、これらが必ずしも登記簿や公図と一致しているとは限りません。
なぜ公図と現況が違うことがあるの?
実は、「公図と現況が違う」というケースは決して珍しくありません。では、どうしてそのような食い違いが生じるのでしょうか?主な理由は以下のとおりです。
1. 公図が古く、精度が低い
多くの公図は明治時代〜昭和初期に作成された「旧土地台帳附属地図」が元になっています。測量技術や地図作成の制度が未発達だった時代に手描きで作られていたため、縮尺が不正確で、形状や位置関係に誤差があるのです。
2. 境界確定がなされていない
土地の境界線は本来、隣接地所有者と合意の上で「筆界(ひっかい)」を確定させる必要がありますが、実際には境界未確定の土地が非常に多いのが現実です。
3. 境界標(杭)が移動・撤去されている
ブロック塀やフェンスなどの構造物が老朽化や建て替えで変わってしまい、本来の境界からズレているケースもあります。農地などでは、長年の耕作の影響で境界が不明確になっている場合もあります。
4. 何らかの工作物(擁壁・建物)が無断で越境している
隣地との境に建てられた工作物が、登記簿上の境界を超えてしまっている例もあります。これは「越境問題」としてトラブルに発展することもあります。
公図と現況が違うとどんな問題がある?
公図と現況に違いがあると、以下のようなトラブルにつながる可能性があります。
● 売買がスムーズに進まない
買主から「境界がはっきりしないので不安だ」と言われ、契約をためらわれることがあります。特に金融機関の融資を使う場合は、境界明示を求められるケースが多くなります。
● 隣地トラブルに発展する可能性
本来の境界を超えて塀や物置を設置していた場合、隣人から「越境しているから撤去してくれ」と言われることも。お互いに長年気づいていなかったというケースも多く、売却時に発覚して問題になることがあります。
● 境界確定に費用と時間がかかる
境界を明確にするには、測量士に依頼して「現況測量」や「境界確定測量」を行う必要があります。費用は30〜100万円ほどかかることが多く、時間も1〜2か月以上かかることがあります。
対処法は?売却前にやっておくべきこと
1. 不動産会社に相談する
公図と現況の違いを指摘されたら、まずは経験豊富な不動産会社に相談しましょう。現地調査を通じて、どういったリスクがあるのか、どのような対応がベストなのかを提案してもらえます。
2. 現況測量を行う
土地家屋調査士に依頼して「現況測量図」を作成してもらうと、正確な土地の状況がわかります。これは買主に対しても大きな安心材料になります。
※ただし、隣地所有者の同意が必要になるため、関係が悪化している場合は交渉が難航することも。
3. 境界確定測量を検討する
もし将来的に土地を売却したい、または建築予定がある場合は、費用をかけてでも「境界確定測量」を行うことをおすすめします。これは公的な証拠となり、今後のトラブル回避につながります。
まとめ:公図と現況のズレは早めの確認と対応がカギ
「公図と現況が違う」という問題は、土地の売却や相続の際に初めて気づくことも多く、放置していると大きなトラブルにつながる可能性があります。
しかし、正しい知識と対応をしておけば、ほとんどのケースでリスクを回避することが可能です。不動産売却をお考えの方や、相続された土地を整理したい方は、まずは現況の確認から始めてみてください。
弊社では、境界未確定の土地の売却相談、測量士のご紹介、現況での買取りのご相談も承っております。
「境界が不安で売れないかもしれない…」と悩む前に、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。
