
契約日・決済日・所有権移転日を決める方法|不動産取引で失敗しないための実務ポイント

不動産の売買契約では、「契約日」「決済日」「所有権移転日」という3つの重要な日程を決める必要があります。
この日程設定を誤ると、取引全体のスケジュールが狂い、融資が遅れたり、引き渡しが伸びたり、最悪の場合契約解除になることもあります。
この記事では、不動産実務の現場から見た日程の決め方と注意点を詳しく解説します。
目次
1. 契約日・決済日・所有権移転日とは?
1-1. 契約日
売主と買主が売買契約書に署名・押印する日です。
手付金の授受もこの日に行われます。契約日以降、原則として双方に契約履行義務が発生します。
1-2. 決済日
売買代金の残金を買主が売主に支払い、物件の引渡しを行う日です。
住宅ローンを利用する場合、この日に金融機関で融資実行が行われます。
1-3. 所有権移転日
法務局での登記申請により、物件の名義が売主から買主に変更される日です。
通常は決済日と同日に行いますが、契約によっては別日になることもあります。
2. 契約日を決める際のポイント
2-1. 物件の現況確認が終わってから
契約前には必ず現地調査、境界確認、付帯設備表や物件状況確認書の作成が終わっていることが前提です。
2-2. 必要書類が揃っているか確認
- 登記簿謄本
- 固定資産税納税通知書
- 建築確認済証や検査済証(必要に応じて)
書類不足のまま契約日を先に決めると、後で日程変更が必要になることがあります。
2-3. 関係者全員のスケジュールを調整
売主・買主・仲介業者・司法書士が一堂に会せる日を選びます。
特に司法書士の予定確保は早めが安心です。
3. 決済日を決める際のポイント
3-1. 融資承認後に設定
住宅ローンを利用する場合は、本審査承認後に決済日を決定します。
仮審査の段階で決済日を決めるのはリスクがあります。
3-2. 引渡し準備期間を考慮
契約から決済までは、通常2週間〜1ヶ月程度の期間を取ります。
この間に引越し準備や抵当権抹消の手続きを行います。
3-3. 平日午前がベスト
金融機関や法務局が開いている平日の午前に設定すると、当日中に所有権移転登記が完了しやすく安心です。
4. 所有権移転日を決める際のポイント
4-1. 決済日と同日に行うのが基本
お金の授受と所有権移転を同日に行うことで、売主のリスクを最小化します。
4-2. 別日にするケース
- 農地転用許可や建築確認申請が必要な場合
- 登記に必要な書類が揃っていない場合
- 特約で日程をずらすことに合意した場合
4-3. 登記申請は司法書士に依頼
所有権移転登記は専門性が高いため、ほとんどの場合は司法書士が代理で行います。
5. スムーズに日程を決めるための手順
- 売主・買主・仲介業者で希望日をヒアリング
→ 契約日・決済日・所有権移転日の希望を出し合う - 金融機関や司法書士に事前確認
→ 特に決済日の午前枠が空いているか確認 - 必要書類・条件を整理
→ 契約条件や引渡し条件を満たすための準備状況を確認 - 最終決定
→ 契約書に日程を明記
6. よくある失敗例と対策
失敗例1:融資承認前に決済日を設定
→ 対策:必ず本審査通過後に設定する。
失敗例2:引渡し準備が間に合わない
→ 対策:契約から決済まで最低2週間は確保する。
失敗例3:司法書士のスケジュールが合わない
→ 対策:契約日決定前に司法書士へ事前確認。
7. 契約日・決済日・所有権移転日をずらす特約例
契約書には特約として、以下のように記載することがあります。
「農地転用許可が下り次第、所有権移転登記を行うものとし、決済日は許可取得後1週間以内とする。」
こうした特約を入れておくことで、行政手続きの遅れや天候不良による工事遅延にも柔軟に対応できます。
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まとめ
- 契約日・決済日・所有権移転日は不動産取引の核心部分
- 契約日:現況確認・書類準備後に設定
- 決済日:融資承認後、平日午前が理想
- 所有権移転日:決済日と同日が基本だが特約で調整可
- 関係者全員のスケジュールと準備状況を踏まえて決定
こうした日程調整は、売主・買主双方の信頼関係を保ちながらスムーズに進めるための鍵です。
弊社でも日程調整から書類準備まで一貫してサポートしていますので、個別のご相談も承ります。
この記事を書いた人 石川実(ishikawa minoru)
ひたちハウス、IIK株式会社代表。
宅地建物取引士
空き家空き地の買取、リフォーム賃貸を手掛けるひたちハスウ、出張買取販売「出張リサイクルショップ24時」など茨城県内地域密着でお客様の悩みを解決するべく様々な事業を展開。プロの目線で空き家、空き地の管理方法等を伝授します。
